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照明ウオッチング 01

みなさん普段のインテリアの提案の中で、照明デザインをどのように進めていますか?

光は作り上げた内装空間の雰囲気を大きく変える、インテリアの大事な要素です。
照明は予算も工事も後回しにされがちですが、光ひとつで同じインテリアを高級にも安っぽくも見せることができます。また、カタログでは照明器具の形や明るさの目安はわかりますが、そこから出てくる光の色や質、明るさ、特にまぶしさがどの程度のものか、計画しているインテリアの中に配置し点灯した時にどのような雰囲気になるかは、実際の器具から出る光を見てみないとわかりません。

メーカーや製品ごとに、時には製品のロットごとに光の色・まぶしさや品質が変わる可能性のあるLEDは今までの光源の器具ではありえなかった問題を抱えている一方、調光や調色、他の家電との連携などが安価にできるようになり、一般的な住宅でも、時間や生活のシーンによって光を気軽に着替えさせることもできるようになりました。

照明ウオッチングのコーナーでは照明デザイナーの梅田かおりが、自身が関わったプロジェクトの事例を中心に、LEDならではの照明計画、建築への納まりの他、照明器具の存在を意識させない建築化照明の考え方を深堀し、解説していきます。

コロナ禍での新しい時代を迎え、私たちの普段の生活やレジャーの形も大きく変わってきています。非日常を求めて観光地に行っていたのができなくなり、自宅でリラックスと仕事するスペースの両方を確保しなければならなくなりました。庭先や屋外をリビングスペースとして活用するなど、今までの帰って寝るだけの自宅の屋内外の空間を見直す機会が来ています。また、飲食店やホテル、オフィスなど本来人が集まるスペースは、密を避け換気をよくするためにも屋外の効果的な利用が求められています。

今回はそんなご時世にもマッチした、屋外で光と共に楽しい時間を過ごせる空間を作った事例をご紹介します。

伝統的な日本家屋とマッチするモダンなオープンデッキ

これは太平洋側の海沿いに建設された日本家屋のリニューアル物件です。有名建築家が設計し、京都の工務店が施工した40年前の純和風建築を、HANNAT ARCHITECTSがリニューアル設計し、ウッドデッキのアウトドアリビングと露天風呂、屋内にサウナを新設しました。

すぐ下が海という好立地を生かし、月やライトアップした小島を愛でながら、静かな波の音と潮風を感じつつお酒を美味しく飲めるように、照明計画では光源の位置も色温度も低い、落ち着いた光のみで構成しています。

サウナと風呂場の脱衣スペース 明るさが必要な時は天井面に仕込まれた障子内の照明を点灯

 

デッキのエッジを照射する間接照明と水中照明で発光する露天風呂

 

全体の明るさ感と照度は、木のルーバー壁を下からフロスト加工した2800KのLEDテープライトの間接光と、白い玉砂利をデッキ下からLEDテープライトで照らすことで確保しています。屋外では雨によって照射面が濡れて映り込みが発生することもあるため、下向きの間接照明にする場合はなるべくLEDの粒の見えない光源を選択しておくことがポイントです。露天風呂の中は水中照明を設置し、水全体が発光するような効果を出しています。デッキ周辺の落下防止の細いステンレスの柵の中にも光を仕込み、デッキのエッジが浮き上がり、段差を意識させつつデッキ全体のあかり取りとしています。お酒を飲むためのテーブルの光は充電式のテーブルランプで取っています。海に近い物件の場合、照明器具を重耐塩仕様にする必要があり器具の選択肢が限られますが、持ち運びのできる充電式の照明と樹脂を使ったLEDテープライトを使うことで乗り切っています。

小島のライトアップは敷地の端の2か所から重耐塩のスポットライトで照射しています。見る方向からあてると陰影のないつまらない光になるので、ビュースポットから見て小島の立体感が出る位置を探し、色や明るさのテストをして決定しています。

屋外の場合、太陽光の元では見ることのできない、夜ならではの光の景色を作ることで、非日常感のあるリラックスできる空間を作り、日中の仕事のストレス解消と穏やかな眠りに繋げていくことができます。

(ライティングデザインスタジオLUME 梅田かおり)

月を愛でながら酒宴が楽しめる(小島のライトアップ不点灯時)

 

木ルーバーの壁を下からライトアップすることで明るさ感を取る

 

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